なた豆と口臭予防社会の仕組みをデータとして把握

ルネサスエレクトロニクスは2日、最大100ワットの電力供給を実現する次世代のUSB給電規格「USBPD」に準拠した制御LSI(写真)を開発し、7月にサンプル出荷を始めると発表した。スマートフォンやタブレット端末(携帯型情報端末)に対するUSB給電で従来よりも充電時間を短縮できる点、ノートパソコンにも適応できる点が特徴で、USBPDに準拠したACアダプターや充電ケーブルの開発を目指す企業に提案する。 ルネサスが開発した「μPD720250」はサンプル価格が1個1000円(消費税抜き)。量産開始は2015年10月の見込み。 USBPDはUSBの規格策定団体USBインプリメンターズ・フォーラムが12年に策定し、16年以降に規格に準拠した製品が市場投入される見通し。従来規格では7・5ワットだった最大給電能力を100ワットまで高め、消費電力がスマホより大きいノートパソコンなどにもUSB給電できるようにした。 ルネサスは同社の制御LSIと、米ダイオードの整流器をセットにしたUSBPD対応給電システムの評価ボードも開発し、15年10月に量産を始める。顧客企業の製品開発短縮につながる点を訴えて拡販する。 NTTは2日、最新の研究開発成果を一般公開するイベント「オープンハウス2014」の開催に先立ち、公開内容の一部を紹介する内覧会を都内で開いた。 内覧会で公開したのは「運動の可聴化によるスポーツ上達支援システム=写真」をはじめとする七つの研究開発成果。同システムは腕や足などに付けたセンサーで筋電位を取得し、筋肉の活動をとらえて音に変換する仕組み。音の大きさや音色の変化で動きの良しあしが直感的にわかる。設定を変えることで野球やサッカー、ゴルフなどさまざまな競技に応用できるという。 このほかマイクがとらえた音声を可視光通信を利用して伝達することで配線を不要にし、1万台を超えるマイクの同時利用を可能にするシステムや、カメラで撮影した画像から動画を検索する技術などを公開した。前田英作NTTコミュニケーション科学基礎研究所所長は公開した技術を「これから世の中を変えていくイノベーションの種」とし、積極的に実用化を目指す考えを示した。 オープンハウス2014はNTTコミュニケーション科学基礎研究所が主催し、5日と6日にNTT京阪奈ビル(京都府精華町)で開く。 まだら模様の日本の産業競争力―。苦戦する半導体や電機と、強みを維持する自動車や電子部品などで明暗が分かれているが、「モノ中心の工業化モデルのままで大丈夫なのか」といった懸念は残る。1980―90年代に通産省(現・経済産業省)の行政官として欧米との通商問題に向き合い、02年から学界に身を置き、専門の技術経営や計量経済学から産業競争力を俯かんする元橋一之東京大学工学系研究科教授に、日本の産業界が進むべき道と提唱する「サイエンス経済」の台頭について聞いた。 ―サイエンス経済とは。 「経済やビジネスといった社会的な現象も含め世の中で起きていることの原理を明らかにして、さまざまな事象を汎用性の高い知見として構築する。この科学的な探究プロセスから経済的な付加価値を創出し、競争力の源泉とするのがサイエンス経済モデルだ」 ―ビッグデータ(大量データ)活用にも直結しそうですね。 「人の行動や社会の仕組みをデータとして把握することで、新しい製品やサービスを考えることができる。ビッグデータはサイエンス経済のコアであり、日本の強みを生かしたオープンイノベーションを生み出す基盤となり得る」 ―オープンイノベーションの基盤とは。 「モノはすぐに追いつかれるし、コストの安いところに追いつかれてしまう。サイエンス経済は製品や技術のかたまりをプラットフォームとして、組み合わせてモノを作る。プラットフォームの“下流”にサイエンスベースのイノベーション、“上流”にはお客さんとの対話によるビジネスイノベーションがある」 ―現在の工業経済モデルの課題に関して、裏の競争力、表の競争力との関係を述べていますが。 「日本のモノづくりは強いが、いいモノを作れば売れる、という工場の論理が強く、『とにかく売ってこい』と言われた営業が客先を説得して回る。これが裏の競争力だが、結果として客先の声は届かず、過剰品質となってしまう。工業経済の時代はそれでもやってこれたが、環境変化への柔軟性には欠ける。マーケティングなど、表の競争力とのバランスをとることが重要。多様なデータをとることで表の競争力を強くする。これが第1段階だ」 ―裏と表の競争力を生かした具体例とは。 「例えば業界構図の中での立ち位置を把握し、客先のニーズを見極め、全体のシステムを他社製品を含めてパッケージで提供することだ。モノはまねされるが、全体を統合したパッケージ提案ならば新興国には追従されずに競争力を維持できる」  【略歴】もとはし・かずゆき 86年(昭61)東大工学系研究科修士課程修了、同年通産省(現・経済産業省)入省。02年一橋大イノベーションセンター助教授、04年東大先端科学技術研究センター助教授。06年東大工学系研究科教授。大阪府出身、52歳。 【記者の目/覚悟と決意でかじを切る時】 2030年時点で中国の国内総生産(GDP)が米国に並び、日本の約3倍となるとの予測もあり、日本勢はアウエーで戦わないと成長を確保できなくなる。そこで米国型システムに習うべきだといった論調もあるが、元橋教授は「新しい日本型システムを我々自身で作り上げるべきだ」と指摘する。その覚悟と決意をもって、サイエンス経済に向けて今こそかじを切る時だ。

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