なた豆ユーザー企業へのメッセージも盛り込んだ

大真空は業界最小級となる「1612」(約1・6ミリ×約1・2ミリメートル)サイズの温度センサー内蔵水晶振動子を完成した。スマートフォンやタブレット端末(携帯型情報端末)をはじめとするモバイル機器用部品の小型化需要に対応する。通信チップで高いシェアを持つ米クアルコムに、次世代チップセットの推奨部品リストに採用されるよう働きかけを進める。2015年1月にも月100万個体制で量産に移行する考え。 従来、スマホなどは通信用の正確な基準信号を得るため、ICを内蔵する温度補償型水晶発振器(TCXO)を搭載していた。しかし最近は、チップセットに温度補償回路が組み込まれる傾向のため、TCXOでは機能が過剰となっていた。 代わって、温度センサーの役割を果たすサーミスタを内蔵する水晶振動子へのニーズが拡大。大真空は業界に先がけて、量産品で現在最小の「2016」(約2ミリ×約1・6ミリメートル)サイズよりも小型の部品を早期に投入し、小型薄型を追求するハイエンド機種を手始めにシェア拡大を狙う。 クラウドやモノのインターネット(IoT)などの普及でITの適用領域が拡大している。IT人材の活躍の場も広がり、自社技術の強みを生かすIT企業も増えてきた。だが、開発現場の多くは従来型の請負仕事に終始しているのが現状だ。市場環境の変化や産業構造の転換に伴うビジネスシフトは簡単ではない。「IT人材白書」2014年版をまとめた情報処理推進機構(IPA)の片岡晃IT人材育成本部イノベーション人材センター長にIT業界が抱える問題点などを聞いた。 ■□■□ ―白書ではIT企業(有効回答790社)だけでなく、ユーザー企業(同348社)なども調査対象としています。その理由は。 「システム開発は発注者と受注者がいて、受注側のIT企業だけに課題を投げかけても課題は解決できず、ユーザー企業も変わらないと全体が変わらない。下請けへの丸投げなど、既存の仕事のやり方の弊害を問う声もあるが、発注者と受注者が持ちつ持たれつで安住している面もある。こうした状況を踏まえ、なた豆ユーザー企業へのメッセージも盛り込んだ」 ―従来型から提案型へのビジネスシフトについて「必要性を感じているが実行できていない」という回答が多かった背景をどう見ていますか。 「IT・情報サービス産業は言語の壁もあり、グローバル競争といっても家電業界などのような危機感はない。内需も金融機関向け大型案件やマイナンバー関連の政府・自治体の案件なども動いており、大手から下請けまで相応に仕事が回ってきている。コストを切りつめれば従来型の受託開発でも細々と食べていける。こうした状況が、『ビジネスシフトの必要性を感じているが実行できない』という背景にある」 ―グローバル対応も喫緊の課題です。 「調査結果によると、グローバルで事業活動するユーザー企業が70%に対し、IT企業は10%以下だった。ユーザー企業はグローバルなシステム案件は本社で企画・戦略を立てるが、運用保守は現地の采配に任せている。つまりIT企業からすれば、海外進出する企業といっしょに海外に出なければ仕事の量は目減りする。大手IT企業はアジアなどで現地サポート拠点を整備しつつあるが、中堅以下は難しいのが現実だ」 ―どうすればいいのでしょうか。 「従来型の受託仕事があっても、自社の強みが生かせる商品や人材育成につながることもやりながら、新しい方向へとかじを切るべきだ。国内に仕事があっても、海外に目を向けて業務を一部シフトする。新しいものを生み出す企業は女性の活用などダイバシティー(多様性)も重要だ。肝心なのはどういうビジネスをやるかを明確にすることだ。ビジネスモデルが明確でなければ人材育成につながらない」  【記者の目/経営判断の時】 IT企業が向き合うのは「コストを切りつめながらそこそこにやっていける」という現状。その結果として“ゆでカエル”のようになってしまう懸念がある。IT人材白書ではこうした状況を踏まえ、次代を担う人材を育てるために「会社としてのビジネスモデルを明確にすべきだ」と提言する。変革に向けてこの1、2年が経営判断の時といえよう。【富士通総研経済研究所主任研究員 湯川抗】 起業家で、作家でもあるピーター・シムズが2011年に出版した「小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密」は、ICT業界でも話題になった書籍である。 ここでシムズは、仮に失敗したとしても、小さな挑戦を続けることの重要さを説き、小さな失敗からすばやく学ぶことの重要性を強調している。ベンチャーキャピタルや大企業のあり方にも言及しているが、大企業になるほど「大きな賭け」を行いがちで、それが間違っていると指摘する。 クラウドコンピューティング時代のICTビジネスは、「小さな賭け」が重要になる。わが国大手ICT企業は、そもそもベンチャーの活用を積極的に行ってこなかった。しかし、ICTビジネス自体が大きく変化する中、小規模で成長性の高いベンチャー企業を有効活用する必要に迫られている。 低コストでの起業が可能になったことで、ベンチャーに投資を行う、あるいはアライアンスを組むための見極めはこれまでよりも簡単に行ってよい。 これは「小さな賭け」を繰り返すことである。ベンチャーとは、さまざまなリスクを包含するものである。 大企業がいかに自社なりの見極めを行っても、ベンチャー投資、アライアンスの多くは失敗する可能性をはらんでいる。新しい時代のコーポレートベンチャリングは、多くの小さな失敗を許容する制度を企業内に構築する必要がある。 もちろん、その失敗を速やかに実際のビジネスに生かさなければならないが、小さな賭けであるにもかかわらず、これまで行ってきた大きな賭けと同様のシステムで、ベンチャーと関わることを評価してはならない。 また、ものづくりの世界の変革も「小さな賭け」に近い。例えば、3Dプリンターは簡単に試作品を作れ、トライアンドエラーのスピードを上げ、イノベーションを促進する。イノベーションを活用して試作品を市場に投入して反応を得ながら改善を重ねることは、これまでよりもはるかに容易になった。 一般に大企業は完成度を重視して、新たな製品やサービスを市場投入することをちゅうちょする傾向がある。しかし、プロダクトが完成しているのに、それを発信しない方が高リスクだ。ベンチャーを活用して、このような試行錯誤を行うことも可能である。 ICT環境の変化はより迅速なイノベーションを企業に迫る。そして、容易になった起業は、今後新たなベンチャーを次々と生み出すだろう。わが国大手ICT企業は、この変化に対応するため、コーポレートベンチャリングを重要な企業戦略と捉え、数多くの小さな賭けを行うことで成長する方法論を早急に構築するべきである。(おわり)

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