抗がん剤を効率的に注入するなた豆治療

サインクリエイト(浜松市南区、伊藤千明社長、053・442・6011)は、太陽光発電による独立電源の防犯灯や双方向通話・映像送信機能付きのスーパー防犯灯を手がけている。これまで同様の防犯灯は、企業や自治体の環境保全・防犯活動の象徴として設置されていた。「100万円超の高額品が多く、電池交換などの保守費用も高い。自治体などが設置しても保守の予算が取れず、数年後には機能停止状態で放置される場合が非常に多い」(伊藤社長)のが課題だった。 5月に同社の防犯灯を導入した遠州信用金庫の廣野亘本店営業部長は「環境活動の一環で設置したが、費用対効果に非常に満足している」と笑顔を見せる。 サインクリエイトの防犯灯は設置・工事費込みで約30万円。本体の筐体(きょうたい)に厚さ1.5ミリメートルのステンレス板を使用し、ネジやボルトなどの部品もオールステンレスにして耐食性を高めた。太陽光パネルは国産の単結晶タイプで、雨にぬれると表面の汚れが落ちる特殊な表面処理を施した。必ず日の出の時刻まで点灯する常夜灯にこだわり、ライトは低消費電力な白色発光ダイオード(LED)を使用。電池はリチウムイオンとより長寿命なリチウムフェライトの二次電池から選べる。 電池は消耗品で定期的な交換が必要だが、交換費用は約3年に1回のリチウムイオンで6500円、10年に1回のリチウムフェライトで3万円だ。LEDも10年は持つため、設置後の維持・メンテナンスの負担を軽減できる。 徹底して顧客満足度(CS)の高い商品の開発にこだわった背景には、伊藤社長の防犯灯に対する強い思い入れがある。「全国の公立小中学校や公民館は災害時には避難所となるが、停電時に点灯する独立電源の防犯灯がほとんど整備されていない。避難経路も同様で、この状況を変えたいと思った」(同)のが、開発の切っ掛けだ。 2013年には価格が約130万円と従来比3分の1以下で、放射線量測定器も付いた多機能なスーパー防犯灯を開発。綜合警備保障(ALSOK)と業務提携して浜松市内の小学校に試験導入するなど、業界が驚く商品を出し続けている。【広島】双葉工業(広島市南区、吉田信秀社長、082・282・2221)は、広島市安佐北区に新工場を完工させた。自動車のインスツルメントパネルの骨格部品などの組立工場で、12月に本格生産を始める。広島市南区の本社工場が老朽化したこともあり、建設を進めてきた。今後は生産設備を順次移す。投資額は土地取得代も含め総額約10億円。 完成した可部工場は敷地面積8691平方メートル、延べ床面積4340平方メートルの一部2階建て。溶接などの設備を備え、桜江工場(島根県江津市)でプレス加工した鋼材を加工し、自動車の骨格部品として組み立てる。 本社工場は1958年の稼働で老朽化が進み、耐震対策が必要になっている。新工場で作るインパネ骨格部品はマツダ向けインパネを生産するダイキョーニシカワの可部工場(広島市安佐北区)に納入。本社工場よりも近くなり、物流費などのコスト低減につながる。 自動車部品メーカーが新規分野への参入や事業拡大に乗り出している。プレス工業は建設機械の運転台を生産する技術を活用し、防災関連事業に参入する。パイオラックスは弾性技術を生かした医療機器を開発。タマダイ(神奈川県開成町)は電気機械製品の受注を始めた。自動車生産の海外移管などにより国内市場が縮小するなか、新規事業を育成して日本のモノづくり基盤を強化する。(西沢亮)  「従来のコア事業に加え、新たな成長を支える柱作りを推進する」。プレス工業の角堂博茂社長は2014―18年度まで5カ年の中期経営計画で新規事業の育成に取り組む姿勢を鮮明にした。第1弾として油圧ショベルなどの運転台を生産する技術「異形鋼管技術」を活用し、地震発生時に落下物から身を守るシェルターを開発。曲げた異形鋼管に天井や壁の鋼板をつなぐ独自のフレーム構造を採用し、溶接箇所を減らして200トンの荷重に耐えられる高い強度を実現した。 社内の解析シミュレーションでは10メートルの高さから300キログラムのH形鋼が落下しても生存空間を確保できることも確認した。収容人数は最大24人。価格は100万円を想定する。工場の休憩施設などでの利用を見込み、早ければ15年4月にも販売する。 同社は中計最終年度となる18年度の売上高目標を13年度比47・1%増の2700億円に定めた。主力の自動車部品事業では商用車向けモジュール部品の拡販などに取り組むほか、新規事業の育成を積極化する。 パイオラックスは自動車部品で培ったバネや合成樹脂の加工技術、特殊表面処理技術などを組み合わせ、弾性材料で作られた医療機器を開発。身体をなるべく傷つけることなく手がける治療「なた豆歯磨き粉」分野を中心にガイドワイヤやカテーテルなどを製品化する。肝がん治療用では先端にバルーン(風船)を装着したカテーテルを開発。肝臓内の血流をバルーンで一時的に閉塞(へいそく)することで血行動態を変化させ、患部に抗がん剤を効率的に注入する治療を提案する。同商品の拡販などにより14年度は医療機器事業で前年度比21・2%増の40億円を計画。同社の島津幸彦社長は「自動車と医療の2本柱で成長していきたい」と期待を寄せる。 エンジン回りを中心にアルミニウムダイカスト部品を手がけるタマダイはメーターなどの電気機械部品の提案を始めた。多品種少量分野の製品を積極的に開拓し、売上高の9割を占める自動車部品事業とともに拡大を目指す。 業界では20年の国内自動車生産台数が現状に比べて約2−3割減少するとの見方もある。国内市場の縮小が見込まれるなか、各社は新規分野の育成による持続的な成長に取り組む。

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